鉛筆での素描(デッサン)

鉛筆でもののかたちや質感を表現できるように素描の説明をします。

身の回りには様々な色や形、材質のものがあります。それぞれを素描して書き分けることができます。

それには鉛筆による様々な描法を知っておく必要があります。

(1)明暗の調子

明暗の調子はまずは画面の中で最も明るいところを探します。そこを一番あかるいところとしたら、次は最も暗いところを探し出します。この2ヶ所についてはみつけることができます。

そして今度はその中間の明るさのところ、そして次に明るいところ、次に暗いところと5段階ぐらいで表してみましょう。

5段階でも相当に明暗の調子を段階的に現していることになります。じつはこの段階をいくつ細かく描き分けることができるか、練習によって、それを自然に明暗の違いとして表現できるようになってくるといいです。

(2)形を捉える

透視図法を使って遠近法を正確に描くと自然に安定感を持ってみることができます。見る視点の高さによって三次元の物体の形は2次元の紙の上では違って見えてきます。

それでもそれぞれの物体はある形状をもっています。円筒形のものや円錐のようなものなど簡単な形に置き換えて画面に置き、詳細については後から修正するようにします。まずはこうして大まかな形をダイナミックに捉えることが大事です。

(3)立体として捉える

先ほど明暗を捉えることができるようになれば、(1)と(2)のことを組み合わせて様々な立体を表現することができるようになります。単一の光源であれば、その光が強く当たっている面の反対側の場所はもっとも暗くなるはずです。

球であっても、最初にもっとも明るいところと暗いところをみつけてそれから中間の調子をとるように描いていくと立体感を表現できます。慣れないうちは、球面では難しいので、平面の組み合わせと考えて分割して明暗の調子を入れてみるといいです。

(4)質感を捉える

ものは様々な材質のものでできています。またその表面の様子や、透明かどうか、反射はどうかなど、その質はさまざまです。

注意深く観察して、その質感のもつ特徴をつかみましょう。たとえば金属のきらりとした感じは、明るい点を入れると表現できるとか、ガラスの透明感は映りこむ周囲の様子を描きこむと表現できるとかです。

最初のうちはくしゃくしゃにした紙ですとか、布、ガラス、野菜や果物などで練習するといいです。それぞれのものが持つ質感をどうやったら表現できるか、試行錯誤して自分の技術にしていきましょう。

風景画の描き方

風景画を描くときには、ポイントがあります。基本的に遠近法を使って描きます。

遠近法は、近いものは大きく、遠くにあるものは小さくします。これは線遠近法といいます。

それに対して近くのものははっきりと、遠くにあるものは淡く描くことがあります。こちらは空気遠近法といいます。レオナルド・ダ・ビンチはこの手法を使ってモナリザなどの名作を製作しています。

そして絵の風景の奥行きをあらわすために、遠景・中景・近景の一部が重なり合うように描くと、絵らしくなります。

それから野原、田畑、川や湖、山なみ、水平線、地平線などの水平線を描く際には、近くにある場合には間隔を広くします。その一方で遠くにある場合には間隔を狭くして距離感を出します。

またこれは着色の際に注意することですが、目でみて飛び出してくるように見える進出色と、見ると後退していくように見える後退色を組み合わせると、同じように奥行きの広がりを表すことができます。